- 体力に自信がない
- 物覚えが悪く、すぐに忘れる
- 医療機器やパソコンの操作が苦手
- 若い看護師の言動が理解できない
このような悩みや不安を抱えながら働いている50代看護師は多いでしょう。
ネットで「50代看護師」と検索すると「使えない」と出てきて悲しくなりますが、なぜ「50代看護師は使えない」と言われてしまうのでしょうか。
職場の50代看護師を思い浮かべてみると、50代でもバリバリ働いている人もいれば、確かに使えないかも…という人もいて、年齢は関係なく人それぞれのはずなのです。
しかし50代にありがちなネガティブな特徴ばかり注目されてしまい「使えない」という先入観につながっています。
50代看護師が使えないと言われてしまう理由を知り、それを克服することで「使える50代」を目指していきましょう。
この記事では50代看護師の強みや、仕事ができないを卒業するための方法についてもお伝えします
50代看護師が使えないと言われる理由
世代によって起こりやすい心身の変化や特徴があり、50代であれば、体力の低下、記憶力が落ちた、気力が出ない、といった変化を感じている人は多いでしょう。
特に女性は更年期の影響を受けやすい世代です
これらは仕事面にも影響し、周囲からは「やる気がない人」「仕事をしない人」しいては「使えない人」と思われてしまうかもしれません。
心身の不安を抱えながら、体力・気力ともに充実した若い看護師と一緒に働くことは、なかなかツライものです。
自分なりに頑張っていても「50代看護師は使えない」と言われてしまう理由について見ていきましょう。
- 体力面に不安がある
- 新しいシステムに対応できない
- コミュニケーションがとれない
- 看護師経験が少ない
体力面に不安がある
個人差はあるものの50代では体力が低下してきます。
看護業務の中には患者の移乗や排泄介助など、体力を必要とするケアが多くありますが、体力がないと介助に時間がかかったり、他のスタッフに協力を求める必要があります。
スタッフが協力し合える職場であれば良いですが、みんな自分の仕事で手いっぱいの職場では「仕事が遅い」「一人では何もできない人」と思われてしまうかもしれません。
50代看護師には長年の看護業務の負担により足腰に痛みを抱えていたり、更年期症状の影響で心身に不調を感じている人が多くいます。
しかし、このようなつらさを若くて体力のある看護師に理解してもらうことは難しいでしょう。
仕事の疲れもとれにくくなり、疲労は蓄積する一方です
新しいシステムに対応できない
医療は日々進歩しており新しい知識や技術の習得が必要ですが、なかなか覚えられずに繰り返し尋ねたり、忙しいスタッフの手を止めて教えてもらうことになりがちです。
特に医療機器は操作ミスが許されないので、間違えないようにと緊張を強いられます。
パソコン操作に不慣れだと電子カルテの入力に時間がかかり、長時間パソコンを独占してしまうこともあるでしょう。
適応能力や記憶力が低下する50代では、新しいシステムに慣れて使いこなすには相当の時間と努力が必要です。
年齢とともにこだわりが強くなり、今までのやり方に固執して新しい方法を受け入れられない人も目立ちます
コミュニケーションがとれない
長年同じ職場に勤めていれば、医師や師長などの上司に対して物怖じせずに話せたり、同僚とも気心が知れた間柄になるため、人間関係のストレスやコミュニケーションがとれずに悩むことは少ないでしょう。
しかし転職などで職場が変わった場合には、新たな人間関係をつくる必要があり、適応能力が低下している50代にとっては大きなストレスとなります。
また20代・30代といった若い世代とはジェネレーションギャップにより、話が合わない、考え方が理解できない、といったコミュニケーションの難しさを感じることが多くあります。
コミュニケーション不足はコミュニケーションエラーを招く原因となり、しいては医療ミスにつながりかねません。
コミュニケーションエラーとは、意思疎通や情報共有がうまくできないことで生じるミスやトラブルのことです
看護師経験が少ない
50代看護師ときくとベテランナースのイメージが強いかもしれませんが、実際は子育てなどでブランクがある人も多く、看護師経験が豊富な人ばかりではありません。
ずっと看護師を続けてきた50代と比べると経験やスキルが劣るのは当然ですが、周囲からは理解されず「50代にもなって、こんなこともできないのか」と冷遇されることがあります。
もちろん本人も「経験が少ないからできなくて当然」と思わず、経験不足をカバーするための努力は必要です。
ブランクの長さや経験値によりますが、50代から新たに経験を積むことは大変なので、高いスキルや経験を求められない職場を選ぶことをおススメします。
50代看護師の強みは経験値と安心感
今までの話から「やはり50代看護師は使えないのか」と不安になった人もいるでしょう。
しかし50代看護師の経歴はさまざまですが、経験値や50代という年齢が与える頼もしさや安心感は大きな強みです。
多くの症例を見てきた経験から、困難な事例にも対応できる能力が自然と身についているので、多少のことでは動じない度胸があり、培った経験や知識をスタッフたちに提供できる頼もしい存在になるはずです。
患者によっては年配の看護師の方が安心するという人もおり、病気やケガなど不安な状態にいるなかで、いつでも優しく落ち着いた対応をしてくれる看護師は安心感を与えてくれます。
経験の豊富さや実績を評価されて、若手看護師の教育係やスタッフをまとめるリーダー的な役割を任されたり、管理職を打診されることもあるでしょう。
若い頃のように目上の人に対して必要以上に委縮することがなくなるので、医師や上司とも対等に話ができ、また若手の看護師が言えないことを代弁するなど、スタッフ間の関係を取り持ち、職場内のコミュニケーションを円滑にする役割を担うことができます。
50代看護師の仕事ができないを卒業する方法
仕事ができないと言われる状況を克服するには、自分の強みを活かし、能力を最大限に発揮できる職場や働き方をみつけることが重要ですが、それは容易ではありません。
そもそも自分の強みや弱みを認識していない人が多くいますが、年齢的に弱みが増えてしまうだけに、それを補うためのスキルアップやコミュニケーション能力を高める努力が必要です。
いくら頑張っても状況が変わらない、職場自体に問題がある、という場合もあるので、そのようなときには転職という手段を検討しましょう。
- 自分の強みと弱みを知る
- スキルアップのために学ぶ
- コミュニケーション能力を高める
- 休日はしっかり休む
- 頑張り過ぎずに転職を考える
自分の強みと弱みを知る
強みは活かして伸ばし、弱みは克服する努力が必要ですが、自分の強みと弱みを意識せずに働いている人が多いようです。
「私に強みなんてない」と思うかもしれませんが、50代看護師がずっと仕事を続けている継続力も強みです。
協調性、責任感、コミュニケーション能力、観察力、柔軟性など長年の看護師経験から培われた強みはたくさんありますが、一方で体力、向上心、行動力などは年齢とともに低下し、弱みとなりやすいでしょう。
自分の強みを活かせる職場で働けたら、能力を最大限に発揮でき仕事のパフォーマンスも向上するはずです。
私は病院や介護施設で働いた経験から、医療と介護の両面からのアプローチができるという強みがある一方で、体調不良のため体力が必要な仕事はできないという弱みがあります
スキルアップのために学ぶ
50代看護師には蓄積された経験や知識があるものの、医療は日々進歩しているので継続的な学びが必要です。
職場での勉強会や看護協会の研修などは、たとえ勤務時間内や出張扱いであっても面倒だと思ってしまいますが、勉強の機会を提供してくれる職場は職員の教育に力を入れている証拠なので、感謝してしっかり学んでください。
年齢とともに記憶力が低下するので、勉強してもすぐに忘れてしまうのは仕方のないことであり、ひたすらインプットとアウトプットを繰り返すしかありません。
参考書を読むだけでなく、インプット(勉強)したことをアウトプット(実行)することで記憶として定着し、知識やスキルが身についていきます。
1日30分で良いので、まずは学習する習慣をつけましょう
コミュニケーションをとる
どのような職場でも苦手な人が数人はいるものですが、仕事に支障がない程度にはコミュニケーションがとれることが必要です。
苦手意識は相手に伝わりますし、関わりを避けて仕事をしているとコミュニケーションエラーを起こし、医療ミスの原因にもなりかねません。
日々の挨拶と報連相をきちんと行っていれば、相手がよほど問題のある人でないかぎり最低限のコミュニケーションはとれるはずです。
年下の看護師が多くなるため世代交代を実感し、ジェネレーションギャップから居心地の悪さを感じることもありますが、仕事上の関係と割り切って働けたら、少し気が楽になれるかもしれません。
休日はしっかり休む
50代は年齢的に心身の無理がきかなくなるので、休養がとても大切です。
転職したては新しい人間関係のストレスや覚えることだらけで、心もからだも休まる時間がなく、家にいても仕事のことばかり考えてしまうでしょう。
迷惑をかけないようにと気負っていると、過度のプレッシャーにより本来の動きができずに失敗してしまい、さらに仕事ができないと言われてしまう悪循環に陥りかねません。
仕事のことが気になっても休日はしっかり休むことで体調が整いストレスも減るので、仕事の効率アップにつながります
頑張り過ぎずに転職を考える
どんなに頑張っても自分の能力ではついていけない、パワハラにより平常心で仕事ができない、といったことは起こります。
努力しても自分ではどうしようもないこともあるので、そのようなときには頑張り過ぎずに転職を考えましょう。
50代の転職は不安になりますが、看護師は人手不足なので年齢に関係なく常に需要があります。
若い世代よりも転職先の選択肢は減るものの、経験値の高い中年のベテラン世代を歓迎する職場も多いので安心してください。
転職活動にはハローワークの利用や知人の紹介など、いろんな方法がありますが、効率的にすすめたいなら転職サイトの利用がおススメです。
50代看護師が働きやすい職場5選
転職を考える際には給与や休日などの条件に目が行きがちですが、50代でも働きやすいという視点からみることが大事であり、いくら条件が良くても自分に合う職場でないと、継続して働くことは難しくなります。
年齢的に転職を繰り返すのはしんどくなるため、定年後も働くことも視野に入れた転職活動がおススメです。
- 経験を活かせる職場
- 体力的にゆとりを持って働ける職場
- 定年後の再雇用がある職場
- ブランクがあっても受け入れてくれる職場
このような職場であれば、50代でも無理なく安心して働けるでしょう。
介護施設
介護施設の看護師の主な役割は入居者の健康管理なので、医療行為は施設で対応できる胃ろう管理や喀痰吸引、褥瘡処置などの限られたものになります。
基本的に医師は常駐しておらず、看取りや急変時の医療対応も重要な役割となるため、看護師に医療的な判断を求められることが多くあります。
介護業務は介護士が行うので、体力的にはかなり楽です。
夜勤のない介護施設では、夜間はオンコール体制で対応することが一般的です
訪問看護ステーション
訪問看護の利用者は病状が安定している方がほとんどで、病院に比べると医療的なケアは少ないものの、入浴・排泄介助などの体力が必要な場面があります。
訪問看護師は常に不足していることから、需要の高さを反映し給与水準は高めです。
夜間・休日のオンコールや訪問時にひとりで対応することに対し、最初は不安やストレスを感じますが、今までの看護経験があれば十分にカバーできます。
クリニック
休日が固定しているので生活リズムが整いやすく、あまり体力を必要としないことがメリットです。
診療科目によって求められる看護スキルは異なりますが、採血や注射・点滴のスキルは必須です。
クリニックでは医師が絶対的なトップであり、医師と相性が合わないと働きづらくなるため、治療方針や考え方などは事前にしっかり確認しておきましょう。
スタッフの人数が少ないためアットホームな反面、閉鎖的で人間関係が難しくなりがちなデメリットがあります
療養型病院
状態が安定した患者が入院する病棟で、入退院や医療行為は一般病棟に比べると少なく、ルーティン業務が多いので仕事内容を覚えやすいでしょう。
3~6ヶ月くらいの長期入院の方が多いので患者にゆっくりと関わることができ、看護師の年齢層も高めなので同世代の看護師とゆったりと働けます。
しかし一般病棟に比べると、看護業務よりも介護業務が多いので、意外と体力が求められる点は注意しましょう。
検診センター
健診センターでは、健康な人を対象に健康診断や人間ドックを行っています。
看護師は採血業務を担当することが多いですが、他に視力・聴力検査、尿検査、心電図検査、身長・体重測定などを行う場合もあります。
基本的にすべてルーティン業務で体力も使わないので、業務内容を覚えれば比較的楽に働けるでしょう。
採血のスキルは絶対に必要なので「採血が得意!」という人にはおススメです。
転職活動には転職サイトの利用がおススメ
転職するにあたり希望条件に合う職場を自分で探したり、勤務条件を交渉するのは大変ですが、転職サイトを利用すれば、希望条件に合った職場の紹介や、職場との条件交渉を代行してくれます。
複数の転職サイトを併用すると以下のようなメリットがあるので、少なくとも3つ程の転職サイトに登録しておきましょう。
- より多くの求人情報を得ることができる
- コンサルタントからアドバイスを受ける機会が増える
- 好条件の非公開求人を紹介してもらえる
以下の記事では、おすすめの看護師転職サイトと選び方のポイントを紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
どの転職サイトも50代の求人に対応しており、求人数も豊富です
まとめ:50代看護師は使える!
「50代看護師は使えない」は大きな誤解です。
50代という年齢はネガティブな要因として捉えられやすく、実際に体力や適応能力の低下といった弱みがあります。
しかし50代看護師の強みである経験値や安心感は、長年の看護師経験から生じるものであり、経験の浅い若手看護師では太刀打ちできないのです。
その強みを武器にしつつ、今までに培った知識や経験だけに頼って仕事をすることなく、新たな学びと実践(インプットとアウトプット)を繰り返していきましょう。
50代はまだまだやれる!という姿を後輩にみせることで「あんな50代看護師になりたい」と思ってもらえたら素敵ですね。
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