【50代女性一人暮らし】賃貸と持家どちらがおすすめ?老後の不安を減らす住まいの選び方

「結婚したらマイホームを持つべき」とよく言われますが、それでは独身者にはマイホームは必要なく、賃貸暮らしがよいのでしょうか?

賃貸にするか持ち家にするかを決めるのは本人の自由であり、価値観やライフスタイル、収入、人生設計など多くの要素によって選択は異なります。

周囲が意見することではないですが、どうしても世間の目が気になるのは仕方ありません。

50代になると老後生活をリアルに考え始めますが、独身者は難しい選択肢について自分で考えなければならず、不安も大きくなってしまいます。

  • 賃貸と持ち家の違いと、メリット・デメリットを理解する
  • 家賃や住宅ローンの金額が収入に見合っており払い続けられる
  • 老後生活を視野に入れた住まいを選択する

以上のことを念頭において住まいを選ぶことで、将来の不安は減らせるはずです。

この記事では「賃貸か持家か」についてデータを参考にしながら、それぞれの違いやメリット・デメリット、住居費のシュミレーションなどについてお伝えしていきます。

目次

賃貸と持ち家に関するデータ

2022年の「家計調査 家計収支編 単身世帯」のデータでは、単身世帯の35~59歳女性の「持家率」は52.9%「家賃・地代を支払っている世帯の割合」は41.9%となっています。

年齢持家率
(%)
家賃・地代を支払っている
世帯の割合(%)
35~59歳52.941.9
60歳以上85.213.0
65歳以上86.911.1
ハナ☆ハナ

60歳以上になると、持ち家率は80%を超える一方で、賃貸率は10%台と低くなります

持ち家派と賃貸派の比率と理由

全国宅地建物取引業協会連合会が2023年に行った「持ち家派・賃貸派に関する意識調査」では、持ち家派が67.5%と多数を占めています。

「持ち家派」の理由「賃貸派」の理由
1位 家賃を払い続けることが無駄に思えるから
2位 落ち着きたいから
3位 老後の住まいが心配だから
4位 持ち家を試算と考えているから
5位 賃貸は何かと(近隣や使い方)気を遣うことが多いから
1位 住宅ローンに縛られたくないから
2位 税金や維持管理にコストがかかるから
3位 不動産を所有しない身軽さが良いから
4位 天災が起こった時に家を所有していることがリスクになると思うから
5位 不動産の価格が上がりすぎて手が届きそうにないから
2023年 住宅居住白書

全国の20歳以上の男女を対象にした調査のため、年代別であれば順位が異なるかもしれません。

持ち家派は将来の安定した生活や資産になると考えており、賃貸派は不動産を所有することで生じるリスクの回避やコスト面を重視する傾向があるようです。

年代別の持ち家率の推移・住宅所有についての希望

持ち家率は20~50歳代で減少傾向にありますが、どの年代でも住宅を所有したい人は借家で構わない人よりも圧倒的に多くなっています。

しかし20代では約3割が借家で構わないと考えており、若い世代の持ち家志向は低くなっているのかもしれません。

ハナ☆ハナ

年代が高いほど「借家ではなく住宅を所有したい」と考える傾向にあるようです

単身世帯の住まい選び

全世帯に比べると、単身世帯では住宅を所有したい人は少なく借家で構わない人が多いものの、年代が上がるにつれて単身世帯であっても住宅を所有したい人は増えています。

単身世帯でも全世帯でも、住宅の所有を資産価値と捉え、賃貸は不安定と考えているようです。

「家賃を払い続けるのはもったいない、それならローンを払って自分の家を持つ方が良い」という考え方は根強くあります。

ハナ☆ハナ

ほとんどの家は購入時よりも価格は目減りするので、資産価値があるかという視点では疑問を感じます

住まい選びで重視する点では、年代が高いほど「住宅の面積・間取りのゆとり」よりも「立地・アクセス等の利便性を重視する」割合が高くなっているのは、老後も住み続けることを考えると必須の条件といえるでしょう。

参考:国土交通省 人の住まい方

賃貸と持ち家の違い

賃貸と持ち家の違いについて、費用面を中心にみていきましょう。

初期費用の違い

賃貸では初期費用として敷金や礼金、仲介手数料など、家賃の5ヶ月分ほどの金額がかかります。

持ち家の初期費用には税金や仲介手数料、登記費用などがあり、物件価格の3~10%程度の金額になるので賃貸よりも大きな負担です。

毎月の固定費の違い

賃貸では毎月家賃を支払い、持ち家では住宅ローンがある場合は毎月ローンの返済が必要です。

50代から住宅ローンを組むと返済期間が短くなるため、毎月の返済額が大きくなる可能性があります。

ハナ☆ハナ

住宅ローンの多くは完済時の年齢の上限を75~80歳以下としています

維持費の違い

賃貸は2年ごとの更新料(家賃の1ヶ月分ほど)と火災保険料だけの費用になります。

持ち家では毎年の固定資産税や火災保険料に加えて、メンテナンス・修繕の費用が必要です。

メンテナンスや修繕の費用は大きな金額になる場合が多いので、定期的な積み立て(費用の目安は年間40~50万円)で備えておきます。

資産価値の違い

賃貸住宅にはもちろん資産価値はありません。

持ち家は自分の資産となりますが、ほとんどの物件の売却金額は購入金額よりも低くなるため、必ずしも資産価値があるとはいえません。

もし諸事情により住めなくなった場合、持ち家を貸し出して賃貸収入を得ることで、資産価値を生み出すことができます。

住み替え時の手間の違い

賃貸であれば、少ない労力でかんたんに転居することができます。

持ち家から転居する場合には、家を売却する、賃貸住宅として貸し出す、空き家にするなどの選択肢がありますが、どれも手続きに時間や労力がかかります。

持ち家のメリット・デメリット

メリットデメリット
住宅ローンの完済後は毎月の出費が減る
売却したり賃貸物件にすることで、収益を得ることができる
自由にリフォームができる
固定資産税や、メンテナンス・修繕費用などの維持費がかかる(マンションは修繕積立金、管理費、駐車場代も必要)
かんたんに住み替えができない
災害時の備えが必要

メリット

住宅ローンの完済後は毎月の出費を減らすことができ、将来的に売却したり、賃貸として貸し出して収益を得ることが可能です。

住んでいるうちに気になる箇所が出てくれば、リフォームにより住みやすい家に造り替えていくことができます。

デメリット

固定資産税や住宅ローン、メンテナンス・修繕費用などが継続的に必要ですが、修繕費用は内容によっては多額の出費となります。

近所とのトラブルなどで住みにくい状況になっても、持ち家だとかんたんに引っ越すことは難しいでしょう。

火災や地震、台風、豪雨などの災害リスクに対しては保険で備えますが、保険で補償される範囲は限られるので、場合によっては大きな自己負担が生じます。

賃貸のメリット・デメリット

メリットデメリット
かんたんに住み替えができる
収入に応じた賃貸住宅を選択できる
家のメンテナンスが不要
資産にならない
家賃の支払いが続く
高齢になっても住めるか心配

メリット

「自分の条件に合う家がみつかった」「収入が減ったので家賃の低い家にしたい」など引っ越したい事情ができた場合に、かんたんに住み替えができます。

エアコンや給湯器など設備の不具合が起きたときの修繕は貸主が行うため、借主に費用の負担はありません。

デメリット

賃貸に住むあいだは家賃の支払いが続きますが、自分の資産になることはありません。

「高齢になると退去させられるのではないか」と心配される人は多いですが、借主は借地借家法で守られているので、貸主は正当な理由なしに退去させることはできません

もし高齢になって入居先に困ったときは、自治体に公的住宅を紹介してもらったりセーフティネット住宅情報提供システムを活用するのもおすすめです。

賃貸と持ち家のどちらが老後の住まいに適してる?

年齢やライフスタイルによって住まいに求めるものは変化しますが、50代独身であれば退職後や老後生活のことを視野に入れた住まいを考えるでしょう。

引越しを繰り返すことは体力的にしんどくなるので、自分の資産や収入の範囲内で無理なく住み続けられる住居を検討する必要があります。

ハナ☆ハナ

費用や管理面で問題がなければ、賃貸でも持ち家のどちらでも良いと考えます

訪問看護師やケアマネジャーに従事していた経験から、多くの一人暮らしの高齢者宅に訪問する機会がありましたが、その中で感じたことは広い家は一人暮らしには適さないということです。

家族と暮らすには丁度良い広さであった家も、高齢で一人になると管理が行き届かず、セキュリティ面でも不安なので、住み替えを考えた方が良いかもしれません。

50代独身で今後の住まいを考えるなら、老後も自分で管理ができて費用の支払いが可能なこと、安全に安心して暮らせることが必須です。

50~80歳までの住居費をシュミレーション

単身世帯の女性の消費支出

2022年の「家計調査 家計収支編 単身世帯」のデータでは、単身世帯の女性の消費支出は以下のようになっています。

年齢消費支出の金額
35~59歳190,059円
60歳以上151,673円
65歳以上148,971円

消費支出とはいわゆる生活費のことで、家計調査では支出を大きく10の項目(食料、住居、光熱・水道、家具・家事用品、被服及び履物、保健医療、交通・通信、教育、教養娯楽、その他の消費支出)に分けています。

家賃や住宅ローンは消費支出の住居費に含まれるので、現在だけでなく将来もこの支出に対応できる収入や貯蓄があるかを確認しておきましょう。

ハナ☆ハナ

データはあくまで平均値なので、生活水準やライフスタイルによって金額は異なります

賃貸の場合のシュミレーション

家賃8.6万円のアパートに30年間暮らすと3,096万円になり、初期費用に家賃5か月分の43万円、2年ごとの更新料を家賃1ヶ月分とすると129万円かかります。

30年間の賃貸暮らしにかかる費用のトータルは3,268万円となりました。

持ち家の場合のシュミレーション

2,500万円のマンションを購入した場合、30年ローンの固定金利1.5%の元利均等返済で支払うと、毎月の住宅ローン額は86,280円となります。

また毎月の修繕積立金や管理費の平均月額は、修繕積立金は6,500円、管理費が15,000円程度なので合計で2.5万円とし、初期費用はマンション価格の5%で125万円とします。

その結果、マンション購入と30年間にかかる費用のトータルは約3,320万円となりました。

シュミレーション結果について

今回のシュミレーションでは、賃貸も持ち家もほぼ同額となりました。

しかし選択する住居の家賃や価格によって金額は大きく異なりますし、収入や貯蓄、支出とのバランスも必要です。

気になる物件があればシュミレーションで比較し、どちらが自分にとってメリットが大きいかを検討してみましょう。

まとめ

50代で賃貸か持ち家かで悩んでいる人は多いでしょう。

年代が上がるほど持ち家率は高くなりますが「50歳になって賃貸暮らしは恥ずかしい」と体裁を気にして選ぶことは止めてください。

冒頭にも言いましたが、選ぶのは本人の自由であり、価値観やライフスタイル、収入、人生設計など多くの要素をもとに決めることなので、周囲の意見を気にする必要はありません。

以下のポイントをふまえて、住まいを考えてみてください。

  • 賃貸と持ち家の違いと、メリット・デメリットを理解する
  • 家賃や住宅ローンの金額が収入に見合っており払い続けられる
  • 老後生活を視野に入れた住まいを選択する

50代の住まい選びでは、老後の生活を強く意識すると思います。

自分の老後生活はどうすれば快適に暮らせるのか、賃貸や持ち家以外にも高齢者向け住宅など老後の住宅の選択肢は多くあります。

高齢化が進むなかで、今後さらに高齢者向け住宅が増えていくことは確実なので、そのときによりよい選択ができるように、資産を蓄えておくことも大切です。

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