夏になると熱中症に関するニュースが毎日のように伝えられますが、私たち人間だけでなく、犬たちも熱中症のリスクにさらされます。
適切な熱中症対策を怠ると、愛犬の健康を守ることができず、最悪の場合にはいのちまで失う悲しい事態を招いてしまいます。
私は16才のワンコと暮らしており、夏場はエアコン24時間フル稼働、冷却グッズの準備、クール素材のリネン類を使用などの対策を講じていますが、心配は尽きません。
この記事では、熱中症が起きる背景や症状、対処方法、体温調節の仕組み、適切な環境調整などについてお伝えします。
愛犬の健康といのちを守るために今から対策を始めましょう!
犬が熱中症を起こす背景
犬が熱中症を起こす件数は、本格的に暑さが厳しくなる7~8月にピークを迎えますが、4~5月にかけて急増します。
朝晩の寒暖差が大きいことや、まだ体が暑さに慣れていないことなどが原因と考えられます。
熱中症は夏のイメージが強いですが、夏が来る前から注意が必要です。
熱中症の発生時間は、1日の中で最も気温が高くなる時間帯の12~15時が一番多く、そのときの気温は25~30℃が一番多いというデータがあります。
25℃だと人にとっては熱中症になるほどの暑さではありませんが、被毛に覆われている犬にとっては熱中症になるリスクがある気温だといえます。
熱中症に気付いたきっかけの症状には、呼吸が荒い、ぐったりしている、体が熱いなどがあり、少しでも異変が見られたときには、様子を見過ぎず早めに動物病院を受診することが重要です。
エアコンの付け忘れや直射日光による室温上昇など、暑さ対策が不十分なために熱中症起こす事例は、本当に多くみれられます。
熱中症のおよそ半数が自宅内で起きていることもあり、まずは室内の環境調整を徹底する必要があります。
また、鼻が短い短頭犬種(フレンチ・ブルドッグ、パグ、ボストンテリア、シーズー、ペキニーズなど)は、形態的な特徴により呼吸困難になりやすく、特に熱中症になるリスクが高いので注意が必要です。
体温調節のメカニズム
犬は以下のような特徴により、一定の体温を維持しながら外部の温度変化に対応しています。
発汗
人間と異なり、犬は汗を通じて体温を調節することができません。
犬の舌や口内には多くの血管があり、口を大きく広げ、舌を出して呼吸することで、体温を下げるための効果的な熱放散を行います。
被毛
夏になると被毛が抜けるのは、体温調節をしやすくするための犬の適応能力です。
毛が抜けることで風通しが良くなり、熱の放散が促進されます。
行動
暑い日や暑い場所では、自ら涼しい場所を探して休む行動がみられます。
冷たい場所や物に体を接触させることがありますが、冷たい床やタイルの上に寝ることで、体を冷やして体温を下げる効果があります。
熱中症について
熱中症の症状
犬の正常な体温は肛門から測定した直腸温で38〜39°Cですが、熱中症の場合は40°C以上に上昇することがあります。
呼吸数や心拍数が速い、体を触ると熱い、口の中や舌の色が赤い、よだれが多い、動きたがらないなどの症状もみられます。
ぐったりしている、チアノーゼがみられる、嘔吐や下痢などの症状がある場合は、危険性が高くなっており、症状が進行するとショック状態になり、体温が下がってしまうこともあります。
さらに重症化すると、意識消失、けいれん、口や鼻、肛門からの出血などの症状がみられ、死に至ることもあります。
熱中症になったときの対処方法
まずは日陰や室内などの涼しい場所に移動し、室内や車内であればエアコンを効かせます。
次に体を冷やしますが、首、脇の下、鼠径部(太ももの付け根)は太い血管が走っているため、保冷剤をあてると体温降下効率が高いです。
体に常温の水をかけ、扇風機などで風をあてると、熱を逃がすことができるので効果的です。
飲めるなら水分を補給しますが、少しずつ与えて一度に大量の水を飲ませることは避け、飲まない場合は無理に飲ませないようにしましょう。
まずは一刻も早く体温を下げ、体を冷やす応急処置をしながら、動物病院に連れて行ってください。
熱中症は、迅速な対応が必要です
普段からの快適な環境づくり
室内環境の調整
涼しい場所
犬は人より暑さに弱いため、犬種や健康状態にもよりますが、人が快適と感じるよりもやや涼しめな温度・湿度がいいでしょう。
快適に過ごせる温度・湿度設定として、温度26℃、湿度50%くらいが推奨されています。
冷却効果のあるマットやベッドを使用したり、床の冷たさを感じられる場所をつくっておくことも効果的です。
適切な換気
室内の空気がこもらず、新鮮な空気を取り込むために定期的な換気が必要です。
水の準備
暑いときは脱水になりやすく、また脱水は体温上昇を引き起こすので、いつでも水を飲めるようにしておきます。
エアコンの使用
直接犬にエアコンの風が当たると体が冷え過ぎる可能性があるので、風向きを調整したり扇風機で空気を循環させ、冷気を均一に広げるようにします。
冷気は下に滞留するので、犬が過ごす床に近い部分の温度に注意が必要です。
カーテンの使用
カーテンで日差しを遮ることで、室内の温度上昇を抑えることができます。
見守りカメラの活用
犬の留守番中には、リモートで様子を確認するための見守りカメラを利用することも一つの方法です。
カメラ映像を通じて犬の様子や室温を確認し、必要な場合はリモートでエアコンの操作を行うこともできます。
体温を下げるための冷却方法
冷却グッズの使用
冷却ベッドや冷却マットは体熱を吸収し、放熱する特殊な素材でできています。
犬が休息する場所に置いてあげると効果的です。
クールバンダナやベストなどは、水に浸してから着用すると冷たさを長時間保持できます。
冷たいタオルの使用
冷たいタオルで体を拭くことにより、体温を下げることができます。
特に脇や首、足のつけ根などの太い血管がある部位を冷やすと効果的です。
水遊びをする
水に浸かることで体温を下げることができます。
水遊びが好きな犬なら、プールや水場に連れて行ったり、庭に散水して遊ぶのもよいでしょう。
ちなみにうちのワンコは、クールバンダナは嫌がって付けてくれず、未使用のまま放置されています。
犬にも好みがあるので、嫌がるときは無理に強制せずに、違う方法を試してみてください。
犬用クールグッズお散歩時の注意点
真夏のアスファルトは50~60℃まで熱せられるとも言われています。
地面との距離が人より近い犬は地面からの熱を受けやすく、暑い時間に散歩にいくことも熱中症の原因になります。
暑い時期のお散歩は、早朝や夕方などの涼しい時間に行くようにしましょう。
直射日光が強い日中の暑い時間帯は絶対に避けてください。
早朝は気温や地面の温度がまだ上がっていないためおすすめです。
夕方は日没後もしばらくはアスファルトが熱いので、地面を触ってみて熱くないか確認してからにするといいでしょう。
草や土の上などの熱くない場所を選んで歩き、木陰などの涼しい場所で休憩をとりながら、長時間の散歩にならないように配慮が必要です。
おわりに
うちのワンコは幸いに熱中症を起こしたことはありません。
しかし高齢で慢性疾患もあり、若くて健康なワンコに比べると、リスク許容度は著しく低いと思います。
長時間のお留守番は絶対にさせませんが、夏場は短時間のお留守番でも心配です。
今後は見守りカメラの使用も考えており、これからもワンコのためによりよい環境づくりを模索していきます。
熱中症対策を徹底し、愛犬と一緒に元気に夏を過ごしましょう!
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