忙しい職場で働くことに疲れを感じている看護師なら「もっとのんびり働ける職場はないのかな」「もっとゆとりのある働き方をしたい」と考えたことがあるはずです。
私はからだが丈夫で独身だったこともあり、30代までは「体力も時間もあるから、とにかく働いて稼ぎたい」という思いが強く、夜勤も残業も持ち帰りの仕事もなんでもアリ!の無茶な働き方をしていました。
そのツケは40代に入ってから払うことになり、体調不良のために夜勤をやめ、病院勤務を辞め、正職員を辞めることになってしまいました。
ずっと「のんびり働きたい」と思いながらも「看護師がのんびり働くことなんて無理」とあきらめていましたが、現在は30代までは考えたことすらなかった特養でパートとして働いており、結果的にのんびりと働くことができています。
今の職場や働き方に疲れ、限界を感じているなら「のんびりと働く」という選択肢も考えてみてください。
今の働き方や職場に限界を感じているなら、これからはゆるくのんびり働いてみませんか?
看護師がのんびり働ける8つの条件
余裕のない働き方を続けていると、心身は疲弊する一方で、いつか限界がきてしまいます。
もし以下の条件を満たす職場があれば、ゆとりをもって、のんびりと働くことができるはずです。
しかし実際には、これらすべてを満たす夢のような職場はなかなか見つからないので、まずは自分にとって優先度の高い条件を満たす職場を探すことから始めてください。
- ルーティン業務が中心
- 高い看護スキルを求められない
- 病状が安定している患者が多い
- 夜勤がない
- 残業がほとんどない
- 看護業務以外の仕事が少ない
- 固定休で有給休暇がとりやすい
- 心身の負担が少ない
①ルーティン業務が中心
どこの職場でも最初は覚えることが多くありますが、ルーティン業務が中心の職場なら業務を一通り覚えてしまえば、あとは楽に働くことができます。
仕事を覚えるまではしんどいですが、そこを乗り越えれば毎日ほぼ同じ業務の繰り返しなので、とても働きやすいでしょう。
とはいえ患者が相手である以上、イレギュラーなことが起こる可能性がゼロではありません。
また人手不足の職場では一人にかかる仕事量が増えてしまうので、ルーティン業務であっても忙しくなってしまいます。
②高い看護スキルを求められない
新卒など看護師になりたての時期であれば、基本的な看護スキルを身につけるために、多少しんどくても頑張って経験を積むことが必要です。
しかし一定レベルの看護スキルが身につけば、働く場所や働き方の選択肢は大きく拡がりますし、高い看護スキルを求められない職場はのんびりした職場であることがほとんどです。
介護業務が多い職場であれば、そもそも医療行為や看護業務が少ないため気楽な反面、看護スキルを活かす機会がありません。
高い看護スキルは必要でなくても、あまりに看護業務が少ないと物足りなさを感じるかもしれません
③病状が安定している患者が多い
急性期の患者が多いと、急変や緊急入院の対応などに追われがちです。
そのため常に緊張感を強いられ、気持ちにゆとりを持って働くことは難しくなってしまいます。
逆に慢性期で、重症の患者や入退院が少ない職場では、時間に追われて働くことがないので、精神的なプレッシャーやストレスは感じにくいでしょう。
急変リスクが高い患者よりも、病状が安定している患者がメインの職場の方が、のんびりと穏やかに働けることは言うまでもありません。
④夜勤がない
夜勤がなく日勤だけの働き方は、生活リズムが整い、心身の調子も安定しやすくなります。
日勤だけの働き方に変えた看護師が「もう夜勤のある生活には戻れない」「やっぱり夜は寝ないとね」と話すのをよく聞きます。
また早出や遅出勤務などの変則勤務があっても、夜中に働かないのは本当にからだが楽だと実感できるでしょう。
できれば変則勤務すらなく、勤務時間が固定されているのが理想ですが、交替制が多い看護師の職場でそこまで求めるのは難しいかもしれません。
オンコールも夜間に出勤する場合があるのでストレスが大きいです
⑤残業がほとんどない
残業がまったくない職場は稀でも、ほとんどない職場はわりとあります。
求人情報に「残業なし」と記載されている職場を見かけますが、それは逆に怪しく、実際はサービス残業をさせている可能性があります。
「基本的には残業はない」というくらいの方が信用できるでしょう。
私の経験上、求人情報に記載されている残業時間(サービス残業時間も含めて)よりも実際は少なかったのは、現在働いている職場だけです
⑥看護業務以外の仕事が少ない
委員会や看護研究、勉強会など日々の看護業務以外の仕事は、業務時間内に行うことが難しいため残業になってしまいがちです。
残業代が出ればまだ良い方で、サービス残業をしたり、家に持ち帰って行うことが多いのが現実です。
出張扱いとはいえ院外研修に参加すれば、復命書の提出やスタッフへのフィードバックも必要になります。
自己研鑚は必要ですし、日々の看護業務だけが仕事ではありませんが、看護業務以外の仕事が多過ぎるとストレスとなり、働きづらくなってしまいます。
⑦固定休で有給休暇がとりやすい
固定休であれば「シフト表が出るまで来月の予定が立てられない」といった悩みがありません。
しかし病棟など交替制の職場では固定休で働くことは難しく、また希望休を出せるのは月に3日位までなので、決められた日数以上の希望休が必要な看護師は働きづらくなります。
希望休の際限がなくなるとシフトが組めませんし、かといって一部の人だけ多くの希望休が通ると他の看護師からの不満が出てしまいます。
家族と休みを合わせたいなどの事情があるなら、病棟勤務ではなくクリニックなどの固定休の職場を選ぶ方が良いでしょう。
有給休暇の消化率が高いことも、職場を選ぶうえで大切な条件です
⑧心身の負担が少ない
人間関係は退職理由として常に上位に挙げられますが、入職前に職場の人間関係を知るのは難しいことです。
ツテを頼って働いている人から話をきいたり、転職サイトを利用するなら担当コンサルタントから情報を得るなど、できるかぎりの情報収集をしておきましょう。
人間関係が良い職場はコミュニケーションがとりやすいので、精神的なストレスを感じにくいです。
また長く勤めたいなら、通勤時間がかからない、体力が必要な業務が少ないなど、からだへの負担が少ないことも大事な条件です。
蓄積された負担はいずれ大きくなってしまい、離職の原因になりかねません
看護師がのんびり働ける職場
2021年看護職員実態調査によると、看護師の現在の勤務先は「病院」が最も多く 85.3%、次いで「訪問看護ステーション」3.0%、「看護系教育研究機関(養成所、大学等)」2.6%となっています。
病院勤務ではシフト制なので固定休はムリ、夜勤ができることが必須など、雇用条件が厳しいため、のんびりと働くのは難しい場合が多くあります。
ずっと病院勤務だった人も、のんびりと働く職場を検討するなら、病院以外の勤務先にも選択肢を拡げてみてください。
基本的にいのちに係わる業務が少ない職場はのんびりしており、のんびりした職場にはのんびりした看護師が多いように感じます。
「のんびり働きたい」看護師におすすめの職場を紹介しますので参考にしてみてください
- 慢性期病棟
- クリニック
- 訪問看護ステーション
- 介護施設
- 健診センター
- 保育園
慢性期病棟
療養病棟などの慢性期の患者が入院する病棟は、病状が安定している患者がほとんどです。
入院期間は数ヶ月と長く入退院も少ないため、患者とゆっくりと関わることができ、看護業務はルーティン業務が中心なので仕事内容を覚えやすいでしょう。
しかし介護が必要な患者が多いため、意外と体力が必要なことは覚悟しておいてください。
慢性期病棟で働く看護師の年齢層は高めですが、体力に自信のない人はしんどいかもしれません
クリニック
クリニック(診療所)には、地域のかかりつけ医のようなこじんまりとしたところもあれば、専門の診療科に特化した医療設備が整ったクリニックもあり、実にさまざまです。
クリニックは休日が固定しており、勤務形態が日勤のみであることが大きなメリットです。
仕事内容は診療の補助以外にも、受付や清掃、備品整理などの幅広い業務を行う場合があります。
医師が絶対的なトップのため、気難しい性格の医師だと働きづらく、ストレスを抱えやすくなってしまうデメリットがあります。
スタッフの人数が少ないのでアットホームな反面、閉鎖的になりやすいともいえます
訪問看護ステーション
訪問看護の利用者の多くは病状が安定しており、病院に比べると医療的なケアは少ないものの、入浴・排泄介助などの体力が必要な場面が多くあります。
基本的にひとりで訪問するので、訪問時間の制約はあるものの、自分のペースで患者と密に関わることができます。
夜間・休日のオンコールやひとりで訪問することに対し、最初は不安やストレスを感じますが、一定レベルの看護スキルがあれば十分にカバーできます。
訪問時間は30~90分程度ですが、病院ではひとりの患者にそんなに関わることはまずムリでしょう
介護施設
介護施設の看護師の主な役割は入居者の健康管理であり、医療行為は施設で対応できる胃ろう管理や喀痰吸引、褥瘡処置などの限られたものになります。
長期に入居される方や要介護度の高い方が多いため、看取りや急変時の医療対応も重要な役割となりますが、基本的に医師は常駐していないので、急変時などは看護師の判断が求められます。
夜勤のない介護施設では、夜間はオンコール体制で対応することが一般的です。
基本的に介護業務は介護士が行うので、体力的にはかなり楽です。
介護士とのコミュニケーションや協力体制がとれることが業務をスムーズに回すためのポイントになります
健診センター
健診センターでは、健康な人を対象に健康診断や人間ドックを行っています。
看護師は採血業務を担当することが多いですが、他に視力・聴力検査、尿検査、心電図検査、身長・体重測定などを行う場合もあります。
基本的に健康な人を相手にするので急変などはなく、すべてルーティン業務で体力も使わないので、仕事内容を覚えれば比較的楽に働けるでしょう。
予約制で1日あたりの受入れ人数も決まっているので、残業も発生しにくいです
保育園
保育園での主な役割は、園児の体調管理、ケガや病気の応急処置、アレルギーの対応、園内の衛生管理などです。
医療行為はほとんどなく、小児科経験は必須ではありませんが、子ども好きでないと働くのは難しいでしょう。
看護師はひとりだけの場合が多いので、困ったときに相談できる相手がおらず、自分だけで判断し対応することに不安を感じるかもしれません。
スタッフのほとんどが保育士なので、保育士との良好な関係ができれば働きやすい職場といえます。
看護師がのんびり働ける診療科
今回紹介する診療科は、クリニックか病院の外来であることを前提としています。
どの診療科も病状的には落ち着いている患者がほとんどなので、緊急対応を求められることは少なくルーティン業務が中心です。
同じ診療科であっても、クリニックでは受付や清掃、備品整理などの看護業務以外の仕事もしますが、病院の外来勤務であればきちんと分業されているので看護業務に専念できます。
クリニックも外来も固定休で夜勤がないなど共通点が多いですが、外来勤務では院内で異動の可能性があるため、特定の診療科で働きたいのなら、異動の心配がないクリニックで働くことをおすすめします。
医師もハードワークになりがちな診療科を避けて、これらの診療科を選ぶことが多くなっています
- 皮膚科
- 眼科
- 耳鼻咽喉科
- 精神科・心療内科
皮膚科
診察の介助や軟膏塗布、ガーゼ交換、薬の使用方法の説明などが主な業務です。
難しい検査や処置は少ないですが、蕁麻疹などのアレルギー症状への対応や、やけどの処置などの緊急対応が必要な場合があります。
他科では皮膚に使用する薬剤の種類は限られていますが、皮膚科で扱う薬剤の種類はとても多く、用量や用法も細かく決められているので、間違えないように注意が必要です。
自分の皮膚トラブルで気になることがあれば、医師に相談しやすいのは役得ですね
眼科
診察の介助や視力測定、眼圧や視野などの検査が主な業務ですが、検査の種類が多いので検査方法や検査機器の操作を覚えるのが大変です。
視能訓練士がいれば看護師が検査を行うことは少ないものの、視能訓練士がいる職場はまだ少数です。
白内障などのオペを行う場合には、オペ介助に入り、機器の操作や器具の種類、取り扱い方法を覚える必要があります。
しかし外来やクリニックで行うオペの種類は限られており、そもそも難しいオペは行わないので、慣れればしんどい業務ではありません。
耳鼻咽喉科
診察の介助以外に、処置や検査の業務が多いのが特徴です。
子どもの患者が多いので、泣いたり暴れるときには安全に診察や治療が行えるように補助が必要になります。
新型コロナやインフルエンザなどの感染症に対応するため、発熱外来を設けているクリニックもあり、感染症が流行している時期にはかなり忙しくなるでしょう。
花粉症の時期も患者が一気に増えるため、繁忙期の耳鼻咽喉科は大変で、のんびりとは働けないかもしれません。
耳鼻咽喉科では身近な疾患が多いので、疾患の予防や対処法が身につくというメリットがあります
精神科・心療内科
心に不調を抱えた患者が受診するため、医師による診察がメインで医療的な処置はほぼなく、自立した患者が多いので体力的な負担も少ないです。
また投薬治療が中心のため、看護スキルを必要とする場面ほとんどありません。
長期的な通院になる場合が多いので、互いに顔を覚えてコミュニケーションをもつ機会も増えますが、精神的に不安定な患者を相手にすることで、自分も精神的にしんどくなってしまうことがあります。
からだの負担は少なくても、心にストレスを感じることがあるので注意が必要です。
のんびり働くことのメリット・デメリット
のんびり働くことのメリット・デメリットには、以下のようなものがあります。
メリット | デメリット |
---|---|
心身への負担が少ない 時間にゆとりができる ライフワークバランスが保てる | 給与が減る 看護スキルが低下する やりがいを感じにくい |
心身の不調が改善されてえ時間にもゆとりができると、今までは休息にあてていたプライベートな時間を趣味や遊興に使ったり、仕事にも前向きに取り組めるようになります。
また時間のゆとりは心のゆとりにつながるので、家族や友人、同僚に対して寛容に接することができ、人間関係も良くなるでしょう。
生活よりも仕事に比重が偏っていたライフワークバランスが改善されると、生活と仕事の両方をより充実させることができます。
しかし夜勤や残業がない職場や働き方を選ぶと、夜勤手当や残業代の分の給与が減ってしまうので、夜勤手当の額や夜勤回数にもよりますが、4~5万円程度は給与が減ると考えておいてください。
また忙しい職場ほど看護スキルが求められる場面が多いため、そのような現場から離れてしまうと、看護スキルを活かす機会が減ってしまいます。
バリバリと仕事をこなしていた人ほど、のんびり働くことが徐々に物足りなくなり、ルーティン業務にやりがいがないと感じてしまいがちです。
のんびり働くことは給与やキャリア形成の面では不利になりますが、将来的に長く働き続けるなら、のんびりした働き方の方が有利です
転職活動には転職サイトの利用がおすすめ
のんびり働ける職場で心とからだにゆとりを持って働きたいと考えるなら、転職を考えてみるのもアリです。
「自分で転職先を探す時間がない」「のんびりした職場が見つからない」という人は、転職サイトを利用することをおすすめします。
転職するにあたり希望条件に合う職場を自分で探したり、勤務条件を交渉するのは大変ですが、転職サイトを利用すれば、希望条件に合った職場の紹介や、職場との条件交渉を代行してくれます。
複数の転職サイトを併用すると以下のようなメリットがあるので、少なくとも3つ程の転職サイトに登録しておきましょう。
- より多くの求人情報を得ることができる
- コンサルタントからアドバイスを受ける機会が増える
- 好条件の非公開求人を紹介してもらえる
以下の記事では、おすすめの看護師転職サイトと選び方のポイントを紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
まとめ:まずはのんびり働くための条件と職場を知ろう!
毎日が忙しいと自分の働き方を見直す余裕がなく、「のんびり働きたい」と思いつつも、ゆとりのない働き方を続けてしまいます。
今回の記事では、看護師がのんびり働ける条件、看護師がのんびり働ける職場や診療科についてお伝えしました。
- ルーティン業務が中心
- 高い看護スキルを求められない
- 病状が安定している患者が多い
- 夜勤がない
- 残業がほとんどない
- 看護業務以外の仕事が少ない
- 固定休で有給休暇がとりやすい
- 心身の負担が少ない
- 慢性期病棟
- クリニック
- 訪問看護ステーション
- 介護施設
- 健診センター
- 保育園
- 皮膚科
- 眼科
- 耳鼻咽喉科
- 精神科・心療内科
のんびり働けるかは、どこでどのような条件で働くかによって大きく違ってくるので、まずは自分が必要とするのんびり働くために求める条件や職場を考えてみましょう。
今回の記事がのんびり働く職場を見つけるきっかけになればと思います。
せっかく働くのなら、楽にゆとりをもって働きたいと考えるのは、ごく自然なことです
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