新たな就職先を探すときには、誰しもがブラックではない、つまりホワイトな職場で働きたいと思っていますよね。
しかし働いてみると実はブラックな労働環境で、心身ともに疲弊し、再び転職活動を始めることになってしまった…という方は少なくないでしょう。
残念ですが就職前にブラックな職場を完全に見抜く方法はなく、そのような方法があれば誰も最初からそんな職場に就職しません。
でもブラックな職場を見分けるポイントはあります。
そのポイントをおさえて就職活動をするだけでも、ブラックな職場に就職してしまうリスクは減らせるはずです。
今回の記事では看護師が働く職場として病院を中心に、ブラックな職場の実態や見分け方、私のブラック病院での体験談などについてお伝えします。
安心して心地よく働ける、ホワイトな病院探しが必要です
看護師の仕事はブラック?
看護師の仕事や職場がブラックといわれる背景についてみていきます。
看護師を辞めたいと思う人の割合
日本医療労働組合連合会の「2022年看護職員の労働実態調査」によると、看護師の約8割が仕事を辞めたいと思いながら働いています。
仕事を辞めたいと「いつも思う」24.0%と「ときどき思う」55.2%と合わせると 79.2%であり、8 割が仕事を辞めたいと思いながら働いている。辞めたいと「思わない」は、僅か16.6%しかいない。
「仕事を辞めたい主な理由」(3 つまで選択)では、「人手不足で仕事がきつい」58.1%が最も多く、次いで「賃金が安い」42.6%、「思うように休暇が取れない」32.6%、「夜勤がつらい」が 23.6%、「思うような看護ができず仕事の達成感がない」23.1%、「職場の人間関係」20.1%、「家族に負担をかける」13.3%、などとなっている。
引用元:日本医療労働組合連合会2022年看護職員の労働実態調査
辞めたい理由は、看護師なら納得できるものばかりだと思います
離職率
看護職員の離職率が増加し、正規雇用看護職員 11.6%(対前年比 1.0 ポイント増)、新卒採用者 10.3%(同 2.0 ポイント増)、既卒採用者 16.8%(同 1.9 ポイント増)だった。
新卒採用者の離職率は同様の方法で把握してきた 2005 年以降、初めて 10%を超えた。
離職率増加の背景には新型コロナウイルス感染症の影響が一定程度あったと考えられ、2021年度の早退職者が増加したと回答した病院は約 35%で昨年度調査よりも増加し、そのうちの約38%に新型コロナが影響していた。
引用元:日本看護協会 2022年 病院看護実態調査
離職率増加の背景には新型コロナウイルス感染症の影響が一定程度あったと考えられる、とされています。
感染対策により業務量が増えたことが一番の要因と思いますが、私は過剰なストレスにより人間関係が悪化したことも大きな要因ではないかと思っています。
クラスターが発生したときのスタッフのイライラやピリピリ感は、業務の大変さと同じくらいに辛かったです
しかし厚生労働省の「2021年 雇用動向調査結果」によると、一般労働者の離職率は11.1%のため、看護師の離職率が特に高いというわけではありません。
看護師の仕事がブラックといわれる理由
離職率のデータだけでは看護師の仕事がブラックとはいえませんが、なぜブラックといわれてしまうのか、その理由を考えていきたいと思います。
- 夜勤がある
- サービス残業が多い
- 人間関係が悪い
- 休みが少なく、有給を取りづらい
- 教育体制が整っていない
夜勤がある
看護師は夜勤があることが特徴で、今は日勤だけのシフトの方でも過去には夜勤経験のある方がほとんどだと思います。
夜勤自体がブラックの原因ではなく、夜勤中の休憩時間がとれないことや、シフトによっては連休がなく夜勤回数が多いなど、からだを休める時間がないことが問題です。
サービス残業が多い
残業が日常的で、サービス残業は当たり前になっています。
上司は残業を黙認し、申請しても能力不足と却下されてしまい、ストレスを抱えたままサービス残業を続ける方も多いでしょう。
人間関係が悪く、いじめやパワハラがある
閉鎖的な環境は人間関係のトラブルが起こりやすく、お局と呼ばれるような看護師がいても面倒を避けたい上司は何も言わず、おとなしくて優しい性格の方がいじめのターゲットになってしまいます。
人前で怒られる、些細なミスを執拗に責められる、能力を超えた過剰な仕事をさせられるなどのパワハラも横行しています
休みが少なく、有給を取りづらい
常に人手不足の職場ではシフトに公休を入れるのが精一杯で、有給や代休が取得しづらいところは少なくありません。
年間5日間の有給を取得することが義務付けられても、多くの有給が残った状態の方は多いと思います。
だだでさえ休日が少ないのに、休日の研修会や委員会の参加を強制されることもあります。
教育体制が整っていない
OJTや研修などの教育体制がなく、仕事を教えてもらえない、また教えてくれないのに仕事を任されるなど、教育体制の整っていない職場は事故やインシデントが起きる可能性が高くなります。
新人なのに仕事を教えてもらえず、昔の職人気質のような「仕事はみて覚えろ」的なところがまだ多くあります。
ブラックな職場を見分けるポイント
今の職場や転職を考えている職場がブラックな病院かどうかを
見分けるポイントについてみていきます
長く勤務していると自分がブラック病院で働いている自覚がなくなることがあります。
また今の職場がブラックなので転職したいと思っても、次もまたブラックなところだったらどうしよう、と不安になりますよね。
ポイントをおさえた情報収集を行い、ブラックな病院を見分けましょう。
- クチコミをチェック
- 働いている人や働いたことがある人に話をきく
- 病院を見学する
- 面接時の回答が的確か
- 看護師の平均年齢
- 給与額が妥当か
- 常に求人が出ていないか
- 残業時間が記載されているか
クチコミをチェック
現場のスタッフ、患者やその家族のクチコミでは、リアルな意見を知ることができます。
クチコミの投稿数が少なかったり、主観的な意見も多いため、クチコミ内容のみですべてを評価はできませんが、悪評が多い病院は問題がある可能性が高いです。
できるだけ多くのクチコミサイトを比較し検討してください。
看護師に特化したクチコミサイトでは、ナスコミ、ナース専科、はたらきナースなどがあります。
職場で働いている人や働いたことがある人に話をきく
実際に職場で働いている人や働いたことがある方に話をきくことができれば、労働環境についてリアルな情報を得ることができるので、看護師の友人や元同僚など、いろいろなツテを使ってみてください。
病院を見学する
職場見学が可能な場合は、ぜひ見学しておくことをおすすめします
求人票やホームページから確認できる情報は病院のほんの一部にすぎず、雰囲気など実際に見ないとわからない部分が多くあります。
見学時には限られた時間ではありますが、下記のポイントを中心に確認してみてください。
- 病院内の設備や衛生状況
- 病棟内は整理整頓されているか
- スタッフの雰囲気:あいさつや表情、動作、患者や家族とのやりとりなど
- 患者の雰囲気:表情や整容状態、スタッフとのやりとりなど
面接時の回答が的確か
給与や残業についてなど、気になる点があればしっかり確認してください。
質問した内容の回答がなかったり、あいまいな場合には、答えたくない理由があると思われるので要注意です
看護師の平均年齢
看護師の平均年齢が高い場合、若い世代が続かないという見方ができる一方、勤続年数が長い看護師が多いのは働きやすい職場なのかもしれません。
慢性期病棟や介護施設などは平均年齢が高く、年齢だけでの判断は難しい部分もありますが、できれば幅広い世代が所属しているのが望ましいです。
給与額が妥当か
給与が低すぎるのは困りますが、他の求人と比較して明らかに給与が高い場合は、それだけ多く支払わないと看護師がきてくれない状態と考えられます。
常に求人が出ていないか
慢性的に人手不足で離職者が多く、人材が定着しない状態が続いていると思われます。
残業時間が記載されているか
残業がないことはあり得ないので、残業時間の明記がない場合はサービス残業が当たり前になっている可能性があります。
ブラックな職場を辞めるべき理由
心身の健康を保つためにも、ブラックな病院に勤めている場合はなるべく早く転職を検討するべきです。
ブラックな職場を辞めるべき理由についてみていきましょう。
- 心身の健康を失い、働けなくなる
- ブラックな職場に馴染んでしまう
- 自己研鑚やスキルアップが難しい
- 人間関係ばかりを意識してしまう
- 転職先に困らない
心身の健康を失い、働けなくなる
過剰な業務や残業により肉体的に疲弊し、さらに人間関係の悪さやいじめで精神的にも疲弊してしまい、健康を損ねてしまう可能性があります。
心身の健康が壊れると就労意欲を失いやすく、その後の看護師人生に悪影響が出る恐れがあります。
ブラックな職場に馴染んでしまう
いじめやパワハラが横行している職場にいると、いつのまにか自分もその環境に慣れてしまい、無意識に加害者や傍観者になってしまう可能性があります。
正常な感覚があるうちに、次の職場を検討してください。
自己研鑚やスキルアップが難しい
仕事に時間がとられ過ぎたり、仕事で疲れ果てていると、自己研鑚やスキルアップに励む時間や体力を確保できず、今後の看護師としての成長に悪影響となってしまいます。
人間関係ばかりを意識してしまう
人間関係の悪い職場では、苦手なスタッフに意識が向いてしまい、仕事や患者への対応が疎かになってしまいます。
結果的に仕事でのミスが多くなったり、患者に不信感をもたれてしまいます。
転職先に困らない
看護師の転職先は豊富にあるので、現在の職場がブラックなら無理して働き続けようとせずに、転職という選択肢があることを強みに思っていてください。
私のブラック病院での勤務経験
私もかつてもブラック病院といわれる職場で働いていたことがあります
始業1時間前に出勤、毎日2時間以上の残業はあたりまえ、有給消化ほぼゼロ(退職時にも消化できず)、2交替夜勤の仮眠は2時間のところ1時間とれればラッキー、常に人材不足で求人が出ている、という今思えば超ブラックなのに、なぜか当時はそういう感覚はありませんでした。
忙し過ぎて考える余裕がなかったのも理由ですが、10年近く働けたのは人間関係が良く、残業はきちんと申請でき、教育体制も整っているなど、ホワイトな部分もあったからだと思います。
激務で体調不良になり、それを理由に退職の意向を伝えましたが何度も慰留され、そのような状態の中で夜勤明けの帰りに車で単独事故を起こしてしまいました。
事故原因は過度の疲労と睡眠不足による居眠りでしたが、ひどいショックと恐怖ですぐに退職を決意し、夜勤も卒業しました。
ブラックな職場でブラックな働き方をしていると、いずれ私のようになるかもしれないので、早くそこから離れることを考えてください。
おわりに
「転職にはリスクがあるけど転職活動はノーリスク、良い就職先が見つかれば転職すれば良いんだよ」とは、私に転職を決意させてくれた方の言葉です。
私は今は転職を考えてはいませんが、常に看護師の求人やクチコミのチェックはしています。
普段から情報収集をしておくことで「この病院いつも求人出てるな、あれ?この病院の求人は初めて見たけど、条件良いな」と情報感度が高くなり、ブラックかホワイトかを見分けるスキルも自然に身につけることができます。
ブラックな職場から脱出して、ホワイトな職場探しに向かってください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
コメント