パート看護師とは「1週間の労働時間が40時間未満の短時間勤務で働く看護師」のことで、非常勤の看護師が該当します。
勤務時間が少ないため当然給与は少なくなりますが「もっと稼ぎたい!」と思っているパート看護師なら、
- 常勤で働くのは難しいけど、もう少し収入を増やしたい
- 最近は副業がブームだけど、看護師でも副業ができるのかな
- 看護師の仕事を掛け持ちすれば、高収入を得られるかもしれない
このように考えるかもしれません。
結論として看護師の掛け持ちは可能であり、実際に私の周りでもダブルワークをしている看護師は増えています。
常勤で働きながら別の職場でパートとして働いている人、複数の職場をパートで掛け持ちしている人、パート看護師以外に別の職種で働いている人など様々です。
年齢や仕事内容、働き方にもよりますが、心身共にかなりキツイことは確かでしょう。
しかしパート看護師は短時間勤務で残業や責任業務が少ないため、常勤看護師が掛け持ちをする場合よりも心身の負担は少ないかもしれません。
なによりも収入アップを見込めるのが大きなメリットです
この記事では、パート看護師が掛け持ちで働くことのメリットデメリットや、掛け持ちしやすい職場・条件などを解説します。
掛け持ちで働くコツと注意点についてもお伝えしますので、掛け持ちを考えているパート看護師の方はぜひ最後まで読み進めてください。
パート看護師が掛け持ちすることのメリット
- 収入が増える
- 経験を積める
- 働きやすい職場を選べる
収入が増える
掛け持ちすることで働く場所と時間が増えるので、当然ですが収入も増えます。
高時給の職場を掛け持ちすれば更に収入アップが可能ですし、夜勤専従で働くなら1回の夜勤で3万円くらいが支給される職場も少なくありません。
今の職場で働く時間を増やせば収入も増えるのに、わざわざ掛け持ちして収入を増やす意味があるのかと思うかもしれません。
しかし「今の職場に不満があるのでこれ以上働きたくない」「扶養内で働きたいので今の職場での収入を増やせない」など、いろいろな事情があるため、ひとつの職場で収入を増やすことにこだわる必要はありません。
経験を積める
違う分野の職場を掛け持ちすることで知識の幅が拡がり、より多くのスキルを身につけることができます。
経験値が増えることは今後のキャリアアップにつながるので、転職時にも有利になるでしょう。
一方で覚える仕事が多くなるので、人によっては負担に感じてしまうかもしれません
経験よりも収入を優先したいと考えているなら、同じ分野の職場を掛け持ちする方が働きやすいといえます。
働きやすい職場を選べる
掛け持ちするなかで働きやすい職場があればそこをメインの職場にして、働きにくい職場は辞めたり勤務時間を減らすことが可能です。
職場の選択肢を複数もつことはリスクヘッジになります。
「この職場で無理して働き続ける必要がない」「辞めても他の職場で働ける」という選択肢があることは、気持ちが楽になり働きやすさにもつながります。
いろんな職場を取捨選択して働きやすい職場を見つけて、掛け持ちできると良いですね。
パート看護師が掛け持ちすることのデメリット
- シフト調整が難しい
- 覚えることが多くてしんどい
- 忙しくて自分の時間がない
シフト調整が難しい
掛け持ちしていると、それぞれの職場のシフトが被らないように調整するのが大変です。
土日は休みなどシフト体制が決まっていても、希望休が重なったり急な体調不良者や退職者が出てしまい、シフト変更を依頼されることは珍しくありません。
困ったときはお互い様なので協力はするべきですが、余裕がないシフトを組んでいると勤務変更によって自分の休みがなくなったり、働き詰めになってしまう可能性があります。
掛け持ちでは勤務がブッキングしないように十分注意しましょう
覚えることが多くてしんどい
掛け持ちすることで働く職場が増えれば、当然ですが覚えることも増えます。
また職場によって独特のルールが存在するため、それを理解して覚えることは意外と大変です。
「そのやり方っておかしくない?」ということが往々にしてありますが、その職場で働いている人にとってはそれが常識になっているので、余程のことでなければまずはルールに従ってください。
最初からあれこれ意見すると反感を買ってしまいます
同じ分野の職場を掛け持ちすれば、覚えることや学ぶ知識は似たものになるため、しんどさが軽減されやすくなります。
忙しくて自分の時間がない
隙間なくシフトを組んでいると、ずっと働き続ける忙しい毎日になってしまいます。
掛け持ちをする理由は人それぞれですが、常勤だとゆとりある働き方ができないので、掛け持ちを選んだという人は少なくないはずです。
それなのに忙しくて自分の時間がもてない状況で働いていると、いずれはしんどくなって辞めたくなってしまいます。
収入は大事ですが働けないとその収入すら得られないので、自分の時間がなくて辞めたくなるような働き方はしないでくださいね。
パート看護師の掛け持ちにおすすめの職場
- ルーティン業務がメイン
- 単発で働くことができる
- パート看護師が多い
- 夜勤専従で働ける
- 看護師以外の仕事
ルーティン業務がメイン
どんな職場であっても、最初は覚えることが多いためしんどくて大変です。
しかしルーティン業務がメインの職場では、最初のしんどい時期さえ乗り切ることができれば後はグッと楽に働けます。
療養型病院や高齢者施設などは、ほとんどがルーティン業務の職場です
緊急対応や突発的な業務が発生しやすい急性期病棟や救急外来などは、覚えることがとても多いので掛け持ちにはおすすめしません。
単発で働くことができる
一日単位で働く単発の仕事であれば、時間に余裕のある時だけ掛け持ちで働くことができます。
スキマ時間バイトのようなもので「単発派遣」「単発バイト」などとも言われ、人材派遣会社に登録しておき希望する求人案件があれば、その都度エントリーするという仕組みです。
登録しておけば仕事を受ける際に面接や履歴書は必要ありません
イベントナースやツアーナースが単発の仕事としてよく知られていますが、クリニックや病院、デイサービス、高齢者施設、訪問入浴、検診センターなど、単発で働ける職場はバラエティに富んでいます。
パート看護師が多い
パートで働くなら同じような働き方、つまり非常勤看護師が多い職場の方が働きやすいでしょう。
多数決とは言いませんが、人数が多いと立場が強くなり意見も聞き入れられやすくなります。
逆にパートが少ないと少数意見として聞き流されてしまい、なにか改善してほしいことがあっても聞いてもらえない場合が多いです。
少数派になると肩身が狭い思いをしたり、常勤看護師との関係性に悩むことが多くあります。
夜勤専従で働ける
夜勤ができる看護師が不足している病院や施設は多く、夜勤専従の看護師の求人をよく見かけます。
1回の夜勤で3万円ほど支給される職場もあり、効率的に稼ぎたい看護師に人気の働き方です。
日勤のみの職場と夜勤のみの職場を掛け持ちすれば時間を有効に使えるうえ、シフトも組みやすくブッキングも起こりにくいメリットがあります。
しかし夜勤による心身への負担についてはしっかり理解しておく必要があります
番外編:看護師以外の仕事
看護師が掛け持ちの仕事をする際、職種は「看護師」を選択する人が大多数です。
実際に私も看護師以外の仕事をしたことはありません
しかし掛け持ちをするにあたり看護師にこだわる必要はないので、看護師以外の仕事に挑戦してみるのも良いでしょう。
たとえば在宅ワークに興味があるなら、ランサーズやクラウドワークスなどのクラウドソーシングで仕事を探すことができます。
とはいえ、看護師の時給は他職種と比較するとかなり高額なので、高収入を求めるなら看護師を掛け持ちする方が無難かもしれません。
パート看護師が掛け持ちしやすい職場の条件
- 就業規則で認められている
- 少ない勤務日数や時間でも働ける
- 残業がなくシフトが固定されている
就業規則で認められている
まずは自分が勤務している職場が掛け持ちを許可しているのかを知る必要があります。
就業規則で確認できますが、掛け持ちに関する記載がなかったり分からないときは訊いて確認しましょう。
掛け持ちの可否が分からないままで働くのは不安ですし、バレたときに気まずい思いをしたり、そもそも規則に違反していたらペナルティを受ける場合もあります。
就業規則で掛け持ちが認められている職場であれば、最初から安心して働くことができます。
少ない勤務日数や時間でも働ける
パート看護師の働き方は雇用契約によって人それぞれですが、掛け持ちをするなら勤務日数や時間に融通がきく職場の方が働きやすいでしょう。
メインで働く職場でなければ、少ない勤務日数や時間でも働けるのかを確認しておく必要があります。
看護師が働く職場はどこも人手不足の場合が多いので、働くうちに「もっと働く日数や時間を増やしてほしい」と打診されるケースは少なくありません。
しかし仕事量が増えることで心身の負担を大きくしないためにも、情に流されず働き方を変えないことが無理なく掛け持ちを続けるためのコツです。
残業がなくシフトが固定されている
午前と午後の職場が異なるなど詰まった勤務スケジュールで働いていると、午前の勤務が残業になった場合に午後の勤務に支障が出たり、休む間なく働き通しになる可能性もあります。
よほど想定外の事態が生じない限り、残業がなく定時に終業できる職場であることは必須です。
また勤務日がバラバラ、早出や遅出もあるようなシフトが定まらない職場は掛け持ちには向きません。
それぞれの職場のシフトがブッキングしないようにシフト調整をする必要があり、大きな労力になってしまいます。
シフトが固定されていれば、スケジュールも立てやすくなります
パート看護師が掛け持ちで働くためのコツと注意点
- 就業規則で掛け持ちの可否を確認する
- 公務員は掛け持ちはできない
- 税金の支払いや社会保険加入について知る
- メインで働く職場を決めておく
- 同じ時期に複数の職場で働き始めない
- 掛け持ちをしていることを同僚には話さない
国が副業・兼業を促進しているにも関わらず、掛け持ちを禁止している職場は少なくありません。
「2023年病院看護実態調査」によると、副業・兼業が許可されている病院は44.3%、禁止されている病院は35.6%もあります。
法律では「就業時間外は社員のプライベートな時間であり、その使い方について会社が干渉する権利はない」とされており、民間会社が副業を禁止することは実は法律違反なのです。
とはいえ、掛け持ちをしたことで職場に悪い印象をもたれてしまい働き辛い事態になっても困るので、掛け持ちで働くときの注意点について知っておきましょう。
就業規則で掛け持ちの可否を確認する
民間経営の職場なら、まずは就業規則で掛け持ちが許可されているかを確認してください。
これから就職する人であれば就職前に確認しておきましょう。
就業規則において掛け持ちを禁止している職場でダブルワークをした場合、民間経営の職場であれば就業規則違反にはなっても法律違反にはなりません。
掛け持ちがバレたことで解雇になるような事態はまずあり得ませんが、職場には居辛くなるかもしれません。
公務員は掛け持ちはできない
国公立病院などで働く看護師は公務員であり、公務員は法律で副業が禁止されているため副業つまり掛け持ちをすると法律違反となってしまいます。
懲戒処分の対象となり、処分の程度は職場によるものの解雇になる可能性もないとはいえません。
しかし株・FX・暗号資産投資、不動産投資、不動産賃貸、小規模農業、家業の手伝いなど、細かい規定はあるものの公務員でも認められている副業はあります。
税金の支払いや社会保険の加入について知る
掛け持ちによる副収入が年間20万円を越えると所得税の確定申告が必要になります。
「勤務先で年末調整しているのに確定申告の必要があるの?」と思うかもしれませんが、年末調整は一つの勤務先からしか提出できないため、掛け持ちしている勤務先については自分で確定申告をする必要があります。
確定申告を怠ると脱税になってしまいます
社会保険の加入については、最も収入がある勤務先で加入の対象になる可能性があります。
扶養の範囲内で働きたい場合、一定の条件のもとで年収106万円以上を稼ぐと社会保険の扶養から外れてしまい、年収が130万円を越えるとすべての人が社会保険の扶養を外れることを知っておきましょう。
メインで働く職場を決めておく
複数の職場を掛け持ちする場合に、勤務先で社会保険に加入したいならメインで働く職場を決めておきましょう。
社会保険に加入するには、週あたりの労働時間や雇用期間の見込み、月額賃金などを複数の加入条件を満たす必要があるため、それぞれの職場での勤務時間が短い場合にどの職場でも加入条件を満たせない可能性があります。
メインの職場で社会保険に加入すると、その職場で週20時間以上働く必要があるため、掛け持ちの職場で働ける時間は少なくなってしまいます。
メインの職場以外の方が働きやすければ、その職場をメインの職場にするのもアリです
同じ時期に複数の職場で働き始めない
働き始めた当初はただでさえ覚えることが多くて混乱気味なのに、同時期に掛け持ちを始めてしまうとどっちつかずになってしまいます。
良さそうな職場が複数あると一つに決めかねるかもしれませんが、ひとつの職場に慣れて一通り仕事を覚えてから次の掛け持ち先を考えましょう。
慣れるまでのあいだは特に疲れが溜まりやすくなるので、無理なシフトは組まず、休日をきちんと確保して心身の調子を整えておいてください。
掛け持ちを始めたことで、それぞれの仕事に支障を来たすようなことがあってはいけません
掛け持ちをしていることを同僚には話さない
掛け持ちの許可をもらうために上司には掛け持ちすることを伝えておく必要がありますが、同僚には話さない方が無難です。
掛け持ちを快く思う人ばかりではなく、中途半端な働き方と思われて反感を持たれる可能性があり、仕事上で何かミスをすると「掛け持ちをしているから仕事に集中できずにミスをした」と曲解する人もいます。
人手不足の職場なら「よそで働くのなら、うちでの勤務時間を増やしてほしい」というのが上司の本音です。
もし掛け持ちしていることがバレても、許可はもらっており悪いことをしているわけではないので、罪悪感を感じる必要はありません。
掛け持ちで働くなら転職サイトの利用がおすすめ
掛け持ちできる職場を自分だけで見つけることは大変です。
転職活動では、掛け持ちの可否の確認や勤務条件の交渉も必要ですが、転職サイトを利用するとこのような手間のかかることをすべて担当コンサルタントにお任せできます。
転職活動を効率的に行うなら転職サイトの利用は必須です
MC-ナースネットのような掛け持ちにおすすめの単発の求人が豊富な転職サイトもありますので、自分が希望する掛け持ちの働き方ができる職場を見つけてくださいね。
転職サイトの利用で重要なことは、複数の転職サイトを併用することで、以下のようなメリットがあります。
- より多くの求人情報を得ることができる
- 担当コンサルタントからアドバイスを受ける機会が増える
- 好条件の非公開求人を紹介してもらえる
以下の記事では、おすすめの看護師転職サイトと選び方のポイントを紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
まとめ
この記事では、パート看護師が掛け持ちで働くことのメリットデメリットや、掛け持ちしやすい職場・条件などについて解説しました。
掛け持ちのメリット | 掛け持ちの | デメリット
---|---|
収入が増える 経験を積める 働きやすい職場を選べる | シフト調整が難しい 覚えることが多くてしんどい 忙しくて自分の時間がない |
掛け持ちによる収入アップは大きなメリットですが、一方で忙しくて自由な時間が減ってしまいます。
そのデメリットを減らすためにも、掛け持ちしやすい職場を選び、掛け持ちしやすい条件のもとで働くことができれば、グッと働きやすくなります。
まずは掛け持ちが認められている職場であるかを確認してください
- ルーティン業務がメイン
- 単発で働くことができる
- パート看護師が多い
- 夜勤専従で働ける
- 就業規則で認められている
- 少ない勤務日数や時間でも働ける
- 残業がなくシフトが固定されている
パート看護師は常勤看護師に比べると職場からの拘束が緩いため、働き方の選択肢を広くもつことができます。
掛け持ちという働き方で収入アップの可能性を拡げていきましょう!
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