「パート看護師は正職員に比べたら気楽に働けるし、嫌だったら退職もかんたんにできそう」なんて思っていませんか。
私は30年近くずっと正職員で働いてきましたが、2年前からパート職員として働いています。
確かにパートの方が勤務時間や責任業務の面では楽だと感じますが、決して気楽ではないし、しんどいことも多くあります。
職場によっては正職員もパートも大差ない仕事を求められます
現在はパート看護師として2ヶ所目の職場で働いていますが、最初の職場では正職員との関係性に悩み、時給制なのにサービス残業を強いられるなど、ツラいことや理不尽なことが多くあり、結果的に1年程で退職することになりました。
退職を決意してすぐに転職活動を始め、内定後すぐに上司に退職の意思を伝えると引き止めはありましたが、入職時期を決めていることと体調不良を退職理由として伝えることで納得してもらえました。
在職期間が短かったので引き継ぐ業務はほとんどなく、退職の意思を伝えてから退職日までの期間は1ヶ月半ほどだったので、わりとスムーズな退職だったと思います。
有給休暇もしっかり使い切りました
円満かつスムーズに退職するためには、事前の準備がとても重要です。
この記事では、退職したいパート看護師が退職前に考えておくべきことや、引き止めにくい退職理由などについてお伝えします。
パート看護師が退職したいと思う理由
2022年看護職員の労働実態調査によると、働いている看護師の約8割は仕事を辞めたいと考えています。
「看護師といってもパートなら正職員に比べて気楽に働ける」と思われがちですが、パートゆえの悩みがあり、パートであっても辞めたい人は多くいます。
ではパート看護師が辞めたいと思う理由とは、どのようなことでしょうか。
- 人間関係で悩む
- 想定以上に忙しくて残業が多い
- 正社員並みの責任を求められる
- 仕事と家庭の両立が難しい
- 看護スキルに自信がない
正職員との軋轢や正職員並みの仕事内容、残業が多くて家事をする時間がない、などの勤務状況ではパートであるメリットがなく、退職を考えるのは当然のことです。
パート看護師が退職前に考えておくべきことは「引き止めにくい退職理由」
仕事をしていれば、誰しも辞めたいと考えることはあり、仕事に不満を感じつつ働き続ける人もいれば、退職することを選ぶ人もいます。
退職をするしないについては慎重な判断が必要ですが、退職を決断したのなら後味の悪くない円満な退職に向けて準備をしていきましょう。
まずは退職前に考えておくべきことを5つ紹介します。
- 引き止めにくい退職理由
- ベストな退職時期
- 次の転職先と入職時期
- 退職を申し出るタイミング
- 有給休暇を使い切る
引き止めにくい退職理由
「退職はやむを得ない」と思われる理由を示すことが重要であり、キャリアアップや結婚、育児、介護、体調不良など、現在の職場や働き方では解決できないことであれば、引き止めにくくなります。
人間関係の悩みや仕事内容の不満、残業が多いなどの退職理由だと、改善案を提示されやすいので言わない方が無難です。
引き止めにくい退職理由については、以下のパート看護師の引き止めにくい退職理由でお伝えします。
辞めたいとはいえ、明らかな嘘はバレたときに気まずさが残ってしまうので注意しましょう
ベストな退職時期
一般的に年度末の3月末日で退職し4月初日に入職する人が多いので、4月から働き始めると同期ができやすく心強いと思われます。
ボーナスがもらえる職場なら、ボーナス時期の6月や12月にボーナスを受け取ってから退職するのが良いですが、そもそもパート看護師がボーナスをもらえることは少ないです。
退職金はボーナス以上にパート看護師がもらえることは稀ですが、たとえば5年以上勤務すると支給される規定のある職場に勤めており、あと僅かで5年に達するのなら退職金を受け取ってから辞めるべきです。
次の転職先と入職時期
退職を申し出るまでに転職先と入職時期を決めておきましょう。
次の転職先の入職日が決まっていると、今の職場で働ける期限が決められるので、引き止めにあいにくくなります。
また転職先が決まっていると安心感があり、心に余裕もできるので退職交渉にも臨みやすくなります。
後任選びや引継ぎの状況によっては、退職時期を少し延ばしてほしいと依頼されるかもしれませんが、そこはきちんと話し合い、転職先に迷惑が掛からないようにしてください。
退職を申し出るタイミング
退職を申し出るタイミングは退職希望日の3ヶ月前くらいがベストで、遅くても1ヶ月前までには上司に伝えましょう。
就業規則によっては「退職の申告は1年前までに行う」など、あまりにも早い場合がありますが、法律上では退職日の14日前までに申し出れば退職できます。
就業規則より法律の方が効力は上です
早くから申告すると退職までの日数が長いため職場に居づらくなり、申告が遅すぎると後任の決定が間に合わず引継ぎが不十分になってしまう可能性があります。
有給休暇を使い切る
有給休暇が残っている場合には、きちんと消化できるように要望しましょう。
言いづらかったり、退職交渉で精いっぱいになりがちですが、有給休暇を捨てることはもらえるお金を捨てることです。
「退職前に有給休暇のことで揉めたくない」「とりあえず辞めれたら良い」と考えるかもしれませんが、辞めるからこそ割り切って交渉してください。
パート看護師の引き止めにくい退職理由
看護師が働く職場の多くは人手不足のため、上司は引き止めに必死になり、退職理由に対してどのように言って引き止めるかをあらかじめ考えています。
すべての上司がそうとは言いませんが、退職者が多いことは上司の評価に影響するので、保身のために引き止めようとする場合があります。
「引き止めはできない」「やむを得ない事情である」と納得してもらえる退職理由をきちんと伝えましょう。
嘘の理由はダメですが「本音」と「建て前」を使い分けることは大事です
- スキルアップ・キャリアアップしたい
- 結婚・子育てのために働き方を変える
- 親の介護が必要になった
- 病気や体調不良で働けない
- 通勤に時間がかかる
- 次の転職先と入職時期が決まっている
スキルアップ・キャリアアップしたい
「経験したことのない分野に挑戦したい」「看護教員を目指したい」といった前向きな退職理由は好意的に受け取ってもらえます。
しかし今の職場でも実現可能なことだと引き止められるので、今の職場ではできないと伝えることが重要です。
私も新卒で病棟経験を積んだ後に、以前から興味のあった在宅医療を学ぶために訪問看護ステーションに転職した経験があります。
スタッフが減ることは大きな痛手ですが、成長につながる退職は応援してもらいやすいです。
結婚・子育てのために働き方を変える
共働きが大多数の昨今では、結婚自体が退職の理由になることは少ないものの、結婚を機に引越すことになった、フルタイム勤務は難しくなったという理由からの退職はよくあります。
また男性の育児参加が勧められているとはいえ、実際は女性のワンオペ育児になっていることがほとんどです。
出産後は育児休業や時短勤務を活用しながら働き続ける人がいる一方で、退職を選んで育児に専念する人、パートなどに働き方を変える人もいます。
看護師のほとんどは女性なので、子育てが理由の退職は理解が得られやすい一方で、キャリアが中断されるのは残念なことです
親の介護が必要になった
親の介護が必要になったときに、看護師は職業柄どうしても頼られてしまい、主介護者を任されがちです。
自宅で介護する場合、在宅の介護サービスを利用しても介護者の負担は大きいため、仕事と介護の両立が難しくなり、介護のために退職せざるを得なくなってしまいます。
一般の人よりも看護師の方が介護の大変さを理解している分、介護が理由の退職については受け入れられやすいでしょう。
病気や体調不良で働けない
看護師の仕事は過酷なため、無理したことが原因で病気になったり、体調を崩してしまうことは少なからずあり、夜勤や残業、体力が必要な業務などは難しくなってしまいます。
無理をして体調を悪化させてしまうことは上司としても避けたいため、負担の少ない部署への異動の打診はあるかもしれませんが、強い引き止めにあうことはないでしょう。
私も体調を崩して病棟勤務ができなくなったときに、体力の負担が少ない地域連携室への異動をすすめられたことがあります
通勤に時間がかかる
通勤時間は勤務時間に含まれないものの、実質的には仕事の一部です。
通勤時間に音楽を聴いたり読書するなどして、趣味の時間として有意義に活用している人もいますが、通勤時間が短いに越したことはないでしょう。
とくに車通勤の場合、夜勤明けの運転は眠気に襲われることが多くとても危険です。
私は片道1時間の車通勤をしていたときに、夜勤明けに事故を起こしてしまい、通勤に限界を感じて退職した経験があります。
次の転職先と入職時期が決まっている
退職を申し出る前に転職活動を行い、次の転職先と入職日を決めておくことは引き止め予防に効果的です。
「次が決まっているなら仕方ない」と上司も諦めるでしょうが、引継ぎや後任が決まるまで少し退職時期を延ばしてほしいとお願いされるかもしれません。
もし延長するにしても、延長期間をズルズルと延ばすことがないように注意しましょう。
入職時期を延ばすと転職先に迷惑をかけることになりかねません
パート看護師の円満な退職の方法
次の転職先が決まると気持ちに余裕ができる一方で、気の緩みから仕事や人の文句を言ったり、仕事が雑になったりしがちです。
職場に強い不満があっての退職の場合、特にそのような傾向がみられますが、悪い印象を残すような辞め方にならないように注意しましょう。
意外と狭い看護業界では、退職後に研修などで元同僚とバッタリ再会することもあるので、円満な退職を心掛けたいものです。
- 退職の意思は直属の上司にいちばんに伝える
- ポジティブな退職理由を伝える
- 退職前に転職先と入職日を決めておく
- 後任者が困らないように丁寧に引継ぎする
退職の意思は直属の上司にいちばんに伝える
法律上は退職日の14日前までに退職の意思を伝えれば問題ありませんが、引継ぎやシフト組みを考えれば3か月前までに、遅くても1ヶ月までには伝えておくのが望ましいでしょう。
「パートだから辞めてもそれほど困らないはず」と安易に考えず、正職員と同様にきちんと段階を踏むことが大切です。
また親しい同僚などに退職の意向を話してしまい、その情報が自分が伝えるよりも先に上司の耳に入ると不快な気持ちにさせてしまいます。
退職の意思は直属の上司にいちばん最初に伝えてください
ポジティブな退職理由を伝える
「人間関係で悩んでいた」「働き方や待遇に納得がいかなかった」など、退職を決意した人は様々な思いを抱えています。
しかしその思いを正直に言ってしまうと、働く日数が残りわずかであっても働きづらくなるので、退職する自分にはもう関係のないと割り切ることも必要です。
あえてネガティブな理由は言わず、ポジティブな表現で退職理由を伝えるようにしましょう。
「スキルアップ・キャリアアップを目指すため」という理由は、ポジティブな退職理由として最適です。
退職前に転職先と入職日を決めておく
パート看護師の引き止めにくい退職理由でも述べたように、次の転職先と入職日を決めておくことは、引き止め予防に効果的です。
転職先が決まっていれば、退職したい本気度が伝わりますし、自分自身も退職に対する不安や迷いを捨てることができます
転職理由や転職先について詮索されるかもしれませんが、興味本位の噂が拡がらないためにも答えることは退職時期くらいに留め、多くを話さない方が無難です。
後任者が困らないように丁寧に引継ぎする
自分が担当していた業務については、後任の人が困らないように丁寧に引継ぎを行い、退職日まで誠意をもって働いてください。
委員会や看護研究など担っている役割の期間が残りわずかであれば、終了するタイミングで退職するのが良いでしょう。
自分しか知らない、自分しか分からない、といった業務を多く抱えていると、業務を引き継ぐ際の労力が大きくなってしまうので、普段から他のスタッフとの情報共有や共通理解をはかっておくことが大切です。
退職交渉が進まないときの対処法
できれば円満に退職したいですが、相手が退職交渉に応じない場合には強硬手段を取らざるを得ません。
退職する自由は労働者の権利なので、退職に応じないことは違法です
どうしても退職できないときの対処法には、以下のようなものがあります。
- 内容証明郵便で退職届を送る
- 労働基準監督署に相談する
- 退職代行サービスを利用する
退職代行サービスは費用はかかりますが、退職に関する手続きや面倒なやりとりをすべてお任せでき、上司と顔を合わせることなく退職できるので、安心かつおすすめのサービスです。
おすすめの転職サイトの紹介
次の転職先が決まっていると引き止められにくいので、退職を決意したら早めに転職活動を始めておきましょう。
転職サイトに登録すれば、希望条件に合った求人が出たときに優先的に紹介してもらえます。
また担当のコンサルタントが勤務条件の交渉や履歴書の作成、面接の同行などのサポートもしてくれるので安心です。
何かと忙しい看護師なので、プロの力を借りながら時間を有効に使って、効率的に転職活動をすすめていきましょう。
まとめ:退職はポジティブな選択
今回の記事では、退職したいパート看護師が退職前に考えておくべきことや、引き止めにくい退職理由などについてお伝えしました。
- 引き止めにくい退職理由
- ベストな退職時期
- 次の転職先と入職時期
- 退職を申し出るタイミング
- 有給休暇を使い切る
- スキルアップ・キャリアアップしたい
- 結婚・子育てのために働き方を変える
- 親の介護が必要になった
- 病気や体調不良で働けない
- 通勤に時間がかかる
- 次の転職先と入職時期が決まっている
退職には大きなストレスと労力がかかりますが、決してネガティブな選択ではありません。
今後、自分が満足できる職場環境や条件で働くための通過点です
ぜひ前向きに捉えて、円満な退職に向けての準備を始めてくださいね。
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